いかくん漂流記

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【違国日記】6話 感想・ネタバレ|槙生とえみりの歳の差友情と自然な空気感が心地いい

違国日記
©ヤマシタトモコ・祥伝社/アニメ「違国日記」製作委員会

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違国日記6話は日常回なのに密度が濃い

6話は派手な展開こそないものの、キャラクター同士の関係性がじわじわと動いていく回だった。特に槙生とえみりのやり取りが中心になっていて、この二人の空気感が非常に良い。

ここまでの話数で朝と槙生の関係を軸に進んできた物語が、周囲の人間関係にも広がりを見せ始めている。朝の友人であるえみりが槙生と直接絡むことで、槙生の「朝以外の人間との接し方」が見えてくる。これが新鮮だったし、槙生というキャラクターの奥行きがさらに増した回だった。

偏屈な槙生と物怖じしないえみりの対比が面白い

朝の友だちに敬語で対応する偏屈な槙生、物怖じせず話しかけるえみりが強くて、逆にオドオドしてて笑う。

この対比が6話の最大の見どころだ。槙生は大人で、小説家で、知識も語彙も豊富。でも対人コミュニケーションに関しては明らかにえみりに負けている。えみりは高校生なのに初対面の大人相手に臆さない。むしろ槙生のほうが気圧されている。このパワーバランスの逆転が見ていて本当に面白い。

槙生が朝の友人に敬語を使うのも、考えてみれば槙生らしい振る舞いだ。年齢に関係なく他者に一定の距離を置く。それは礼儀というよりも、自分の領域を守るための防衛手段なんだろう。でもえみりはそんな壁をものともしない。この二人、性格は真逆なのに妙に馬が合いそうな予感がある。

違国日記 第6話
©ヤマシタトモコ・祥伝社/アニメ「違国日記」製作委員会

突拍子もない情景描写と歳の差友情の芽生え

槙生がえみりにお茶を淹れるシーンが湖畔のカフェっぽくなるところとか、突拍子もない情景描写が見ていて楽しい。なんとなく歳の差の友情みたいなのも見え隠れして。

この演出、この作品ならではだと思う。現実の部屋でお茶を淹れているだけなのに、映像が急にファンタジックになる。これは槙生の内面、つまり小説家としての想像力がそのまま画面に反映されている演出なのだろう。槙生はえみりとの時間を、本人が思っている以上に楽しんでいるのかもしれない。

歳の差の友情というのは、この作品の重要なテーマの一つだと思う。朝と槙生は「保護者と被保護者」という関係性に縛られがちだが、えみりと槙生にはその縛りがない。だからこそ、より対等な関係が生まれる余地がある。槙生にとってえみりは「朝の友達」ではなく、一人の話し相手として認識され始めているのが面白い。

むしゃくしゃケーキと刺繍とDVD――自然な会話の心地よさ

むしゃくしゃして作ったケーキ、女子が二人で刺繍する姿、DVDを薦める槙生。自然な雰囲気の会話がいい。

このシーンの連続が6話の空気感を決定づけている。特別なイベントがあるわけではない。ケーキを食べて、手芸をして、映画の話をする。ただそれだけ。なのにこの日常のやり取りが妙に心に残る。

「むしゃくしゃして作ったケーキ」というのが槙生らしくて好きだ。普通の人なら「むしゃくしゃして壁を殴る」とか「むしゃくしゃして散歩に出る」だろう。槙生はケーキを焼く。しかもちゃんとおいしいのが出てくる。感情の発散方法が生産的で、これが小説家という職業の人間のリアリティなのかもしれない。

刺繍のシーンも素晴らしかった。二人が並んで黙々と針を動かしている。会話が途切れても気まずくない。この「沈黙が苦にならない関係」は、信頼の第一歩だ。まだ出会って間もないのに、すでにこの空気感を作れるのは、えみりの天性の人懐っこさと、槙生の「一人の時間を共有できる人間を拒まない」という性質がうまく噛み合っているからだろう。

DVDを薦める槙生もいい。自分の好きなものを他人に薦めるという行為は、相手への信頼がないとできない。槙生が無意識にえみりを「薦める価値のある相手」として認めている証拠だ。

違国日記 第6話
©ヤマシタトモコ・祥伝社/アニメ「違国日記」製作委員会

後半の大人のラブコメ展開について

槙生が元カレと訪れた中華屋で、えみりと弁護士が出てきたりの表現が面白い。後半はなんとなく大人のラブコメ。オウ。

この「オウ。」に全部詰まっている気がする。

6話の後半は、槙生の過去の恋愛が少しだけ顔を出すパートだ。元カレとの思い出の場所に行ったら別の知り合いがいた、というシチュエーション。ここの空気感が絶妙で、気まずいのか懐かしいのか、槙生自身もよくわかっていない感じが伝わってくる。

この作品は基本的に朝と槙生の物語だが、槙生にも槙生の人生がある。過去の恋愛、友人関係、仕事のストレス。朝が来る前から積み重ねてきたものがある。6話後半はそこにチラッと触れることで、槙生という人間の立体感を一気に増している。

大人のラブコメと書いたけど、正確には「大人の人間関係の複雑さ」だと思う。好きだった人との関係が終わっても、その人と行った場所は街に残り続ける。人間関係は終わっても、その痕跡は消えない。そういう大人特有のほろ苦さを、この作品はさらりと描く。重くなりすぎないのがいい。

作品情報

項目内容
原作ヤマシタトモコ(祥伝社 / 全11巻完結)
監督大城美幸
構成・脚本喜安浩平
アニメーション制作朱夏
放送NHK総合
配信NHKプラス / ABEMA / DMM TV / dアニメストア / U-NEXT / Netflix

見逃した方・これから見る方へ

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