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2026年F1開幕戦、オーストラリアGP。メルボルンのアルバートパーク・サーキットで、新時代の幕が開いた。シャシーとパワーユニットの大幅なレギュレーション変更が施された2026年マシンでの初レース。結果はジョージ・ラッセルが開幕戦を制し、チームメイトのキミ・アントネッリが2位。メルセデスが1-2フィニッシュで新時代の主役に名乗りを上げた。
2026年の勢力図:ドライバー大移動の年
2026年はレギュレーション大改革と同時に、F1史上最大級のドライバー市場の動きがあった年でもある。最大の話題はルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍だ。メルセデスで6度のワールドチャンピオンを獲得した男が、40歳にして赤いマシンに乗り換えた。歴代最多勝記録を持つドライバーの電撃移籍は、オフシーズンの話題を独占した。
ハミルトンの後任としてメルセデスに抜擢されたのが、19歳のキミ・アントネッリ。一方、レッドブルはセルジオ・ペレスに代えてイサック・ハジャーをセカンドシートに昇格させた。ペレスは新規参入のキャデラックへ移籍し、バルテリ・ボッタスとともにチーム初年度を戦う。
フェラーリからハミルトンに押し出される形となったカルロス・サインツはウィリアムズへ。エステバン・オコンがアルピーヌからハースへ、フランコ・コラピントがウィリアムズからアルピーヌへと、玉突き移籍が連鎖した。2016年以来となる11チーム22台体制でのスタート。新レギュレーションに加え、チームとドライバーの組み合わせが一気に変わったことで、誰にとっても「リセット」のシーズンとなった。
予選:メルセデスが衝撃のフロントロウ独占、フェルスタッペンはクラッシュ
土曜日の予選で、パドックに衝撃が走った。ラッセルが1分18秒518というタイムでポールポジションを獲得し、アントネッリが0.293秒差で2番手。メルセデスがフロントロウを独占した。2024年イギリスGP以来のメルセデス・フロントロウ。BBCは「メルセデスの予選での優位がパドック中に衝撃を与えた」と報じた。
3番手にイサック・ハジャー(レッドブル)、4番手にルクレール(フェラーリ)が続いたが、誰もがざわついたのはQ1で起きたフェルスタッペンのクラッシュだった。ターン1でリアがロックし、グラベルに飛び出してタイム計測すらできずに予選を終えた。4度のワールドチャンピオンがQ1で姿を消す。レッドブルの2026年マシンが抱える深刻な問題を象徴するシーンだった。
ラッセルとルクレール、7回のリード交代が生んだ新時代の名勝負
決勝のスタートでルクレールがラッセルをターン1でかわしてトップに立つ。しかし、ここから始まったのが2026年レギュレーションの新しさを象徴するバトルだった。
ラッセルはエレクトリックブーストを使ってルクレールをオーバーテイク。しかしバッテリーを使い切ると、今度はルクレールが自分のブーストで抜き返す。オープニング9周で実に7回もリードが入れ替わるという、従来のF1では考えられない展開が繰り広げられた。電動パワーの使い方がレース戦略に直結する、まさに新時代のレースだった。
VSCが分けた運命、メルセデスの大胆なワンストップ
レースが決定的に動いたのは11周目。ハジャーのレッドブルがエンジントラブルでストップし、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。メルセデスはすかさず2台ともピットイン。フェラーリはステイアウトを選んだ。
さらに16周目にボッタスの燃料系トラブルで2回目のVSC。メルセデスは2度のVSCを利用して「タダ」でタイヤ交換を済ませ、ハードタイヤで46周を走り切るワンストップ戦略を敢行した。フェラーリはVSCの恩恵なしにピットストップを強いられ、メルセデスに大きく差をつけられた。
ルクレールはレース後、「メルセデスは本当のペースを隠していたと思う」とコメント。実際、ラッセルはルクレールがピットアウトした後もルクレールと同等のラップタイムを46周目のタイヤで刻んでいた。
メルセデスの圧倒的総合力
開幕戦の結果を見れば、メルセデスが他チームとは次元の違うところにいることがわかる。ラッセルが3位ルクレールに15.5秒差をつけて優勝。2位のアントネッリもルクレールに12.5秒の差をつけている。メルセデス勢と他チームの間に、明確な壁があった。
この差は開幕戦だけで生まれたものではない。プレシーズンテストでメルセデスは全メーカー中最多の4,098周を走行し、2位フェラーリの3,084周を約1,000周も上回っていた。アントネッリがテスト最速タイムを記録し、ライバルチームからは「メルセデスは本来の速さを隠している」と警戒されていた。
強さの源泉はエンジン単体ではない。パワーユニットとシャシーの統合度、いわゆるインテグレーションの質がひとつ上にある。メルセデスはメルセデス・マクラーレン・ウィリアムズ・アストンマーティンの4チームにPUを供給する唯一のメーカーであり、走行データの蓄積量でも有利に立っていた。新レギュレーションへの準備期間の長さと統合力。それが開幕戦の圧勝に直結した。
20番手から6位、フェルスタッペンの意地
予選クラッシュで最後尾20番手スタートとなったフェルスタッペンだが、決勝では別人だった。58周のレースで14台を抜き去り6位フィニッシュ。さらに43周目に1分22秒091のファステストラップを記録した。
マシンに問題がなければ速い。しかし、その「問題がない状態」がレッドブルには訪れない。それが2026年序盤のフェルスタッペンとレッドブルの現実だった。
新規参入チームの初日:キャデラック、アウディ、そしてルーキーたち
2016年以来となる11チーム参戦の開幕戦。新規参入のキャデラックはセルジオ・ペレスが16位で完走し、チーム史上初のフィニッシュを記録した。ボッタスは15周で燃料系トラブルにより脱落。
アウディのガブリエル・ボルトレートは9位に入り、アウディとしてF1史上初のポイントを獲得。Q3にも進出しており、新チームとしては上々のスタートを切った。
レーシングブルズのアービッド・リンドブラッドはF1デビュー戦で8位入賞。ファエンツァ拠点チームのルーキーがデビュー戦でポイントを獲得するのは、2021年バーレーンGPの角田裕毅以来だった。
驚異の19歳、キミ・アントネッリ
この開幕戦で2位に入ったアントネッリとは、いったい何者なのか。イタリア・ボローニャ出身、2006年8月25日生まれ。父マルコはスポーツカーレーサーでAKMモータースポーツのオーナー。レーシング一家に生まれた少年は、カートの時代から常識外れの速さを見せてきた。
2020年〜2021年にカートのヨーロッパ選手権シニアクラスを連覇。2022年にはイタリアF4とADAC F4の両チャンピオンを同年に獲得し、FIAモータースポーツゲームズでは金メダルも手にした。フォーミュラ・リージョナルでもヨーロッパと中東の両選手権を制覇。2024年にはF2で2勝を挙げて総合6位。この時点でまだ17歳だった。
メルセデスの育成プログラムに所属し、2024年イタリアGPでハミルトンの後任として正式発表。2025年からF1レギュラードライバーとなり、カナダGPで初表彰台(3位)を獲得した。そして2026年、新レギュレーション元年の開幕戦でメルセデス1-2の一角を担う。出走すれば速い。それを証明し続けているのがアントネッリだ。
ピアストリの不運、ホンダの苦難
レースを走ることすらできなかったドライバーもいた。マクラーレンのオスカー・ピアストリはサイティングラップで予期せぬエンジンサージに見舞われ、コースオフしてDNS。ホームレースを走れないという悪夢の週末となった。
ホンダがパワーユニットを供給するアストンマーティンも厳しかった。アロンソはスタートで7台をかわす見事な出だしを見せたものの、21周目にバイブレーションでリタイア。ストロールは43周を完走したものの大きく遅れた。新時代の開幕戦で、ホンダ陣営は1ポイントも獲れずに終わった。
決勝リザルト
| 順位 | ドライバー | チーム | タイム差 |
|---|---|---|---|
| 1 | ジョージ・ラッセル | メルセデス | 1:23:06.801 |
| 2 | キミ・アントネッリ | メルセデス | +2.974s |
| 3 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | +15.519s |
| 4 | ルイス・ハミルトン | フェラーリ | +16.144s |
| 5 | ランド・ノリス | マクラーレン | +51.741s |
| 6 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | +54.617s |
| 7 | オリバー・ベアマン | ハース | +1周 |
| 8 | アービッド・リンドブラッド | RB | +1周 |
| 9 | ガブリエル・ボルトレート | アウディ | +1周 |
| 10 | ピエール・ガスリー | アルピーヌ | +1周 |
| DNF | フェルナンド・アロンソ | アストンマーティン | バイブレーション |
| DNF | バルテリ・ボッタス | キャデラック | 燃料系トラブル |
| DNF | イサック・ハジャー | レッドブル | エンジン故障 |
| DNS | オスカー・ピアストリ | マクラーレン | サイティングラップでクラッシュ |
| DNS | ニコ・ヒュルケンベルグ | アウディ | 油圧トラブル |
ファステストラップ:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)1:22.091(Lap 43)
チャンピオンシップスタンディング(第1戦終了時点)
| 順位 | ドライバー | チーム | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | ジョージ・ラッセル | メルセデス | 25 |
| 2 | キミ・アントネッリ | メルセデス | 18 |
| 3 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 15 |
| 4 | ルイス・ハミルトン | フェラーリ | 12 |
| 5 | ランド・ノリス | マクラーレン | 10 |
| 6 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | 8 |
| 7 | オリバー・ベアマン | ハース | 6 |
| 8 | アービッド・リンドブラッド | RB | 4 |
| 9 | ガブリエル・ボルトレート | アウディ | 2 |
| 10 | ピエール・ガスリー | アルピーヌ | 1 |
| 順位 | コンストラクター | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | メルセデス | 43 |
| 2 | フェラーリ | 27 |
| 3 | マクラーレン | 10 |
| 4 | レッドブル | 8 |
| 5 | ハース | 6 |
| 6 | RB | 4 |
| 7 | アウディ | 2 |
| 8 | アルピーヌ | 1 |
レース情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会名 | 2026 FIA Formula One World Championship 第1戦 オーストラリアグランプリ |
| 開催日 | 2026年3月8日 |
| サーキット | アルバートパーク・サーキット(メルボルン) |
| コース全長 | 5.278km |
| レース距離 | 58周(306.124km) |
| 観客動員 | 48万3,934人(3日間合計) |
| 優勝 | ジョージ・ラッセル(メルセデス) |
| ポールポジション | ジョージ・ラッセル 1:18.518 |
| ファステストラップ | マックス・フェルスタッペン 1:22.091(Lap 43) |
| VSC | 2回(Lap 11 ハジャー エンジン故障 / Lap 16 ボッタス 燃料系トラブル) |
次戦のスケジュール
| 次戦 | 第2戦 中国GP |
| 日程 | 2026年3月13日〜15日 |
| サーキット | 上海国際サーキット(中国・上海) |
| フォーマット | スプリント週末 |
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