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高校ではお姫様、中学では孤独だった美姫
3話で意外だったのは、高校では完全にお姫様扱いされている美姫の中学生時代が、実はぜんぜん華やかな景色じゃなかったところ。クラスの中心にいる今の美姫からは想像できないくらい、当時の彼女は孤独を抱えていた側の人間だったらしい。
つまり今の「明るくて目立つ美姫」は最初から備わっていたものじゃなくて、中学時代の暗い時間を経た上で出来上がっている姿だということになる。1話2話で見せていた小雪に対する強気な距離の取り方も、中身を知るとちょっと違う色合いに見えてくる。
塾での湊との出会いが、美姫を救った
そんな美姫を孤独から引き上げたのが、中学時代に通っていた塾で出会った湊だった。重たい話を背負わせる感じではなく、湊が湊らしくいてくれただけで美姫の世界は呼吸できる場所に変わった、というニュアンスに見える。だからこそ美姫は今も湊にだけは特別な好意を持っていて、それが今回の話の根っこになっている。
1話で見せていた湊の距離ナシな明るさが、美姫にとっては救命ロープみたいに機能していた、という補助線が3話で1本通る。湊本人は意識していないだろうけれど、その振る舞いが誰かの中学時代を変えていた、という事実だけが残っている。
四人でのテスト勉強、三角でも四角でもない距離感
そして始まる小雪・美姫・湊・陽太の四人でのテスト勉強。配置を整理すると、湊は小雪のことが気になっている、小雪は陽太には心を開きつつあるけれど湊には警戒を残している、美姫は湊と小雪の様子にやきもきしている、陽太はいつも通りマイペースで我関せず、という具合。
これだけ並べておいて、関係性は三角でも四角でもない。誰か一人が誰か一人を一方的に好いている図式じゃないし、二人ずつのペアが向き合っているわけでもない。矢印の向きと強さが全員違うから、四人いるのに線が綺麗にはつながらない。この図形にしきれない感じが、3話の居心地の悪さと面白さを同時に作っている。
五十嵐の名前で、小雪の壁がまた立ち上がる
ある日、湊が小雪の中学時代の同級生・五十嵐の名前を出してしまう。それだけで小雪の表情が変わって、せっかく開きかけていた壁が一気に内側に戻ってしまう。中学時代に嫌な経験があって、その関係には今でも触れられたくない、という拒絶反応がはっきり出る。
2話までで小雪が壁の外に半歩出かけていた流れだったから、ここで一気に引き戻される落差が大きい。そして相手は悪意があったわけではなく、本当にたまたま名前を出しただけの湊。傷というのは、相手の意図と関係なく踏むことができる地雷だ、という当たり前の事実をきちんと描いている。
不器用な小雪、それでも見えていて気をつかい始める
小雪は他人との距離感がうまく取れないキャラとして描かれているけれど、3話で意外な側面が出てくる。距離が下手な代わりに、周りの空気はそれなりに見えていて、美姫が自分と湊の関係をうっすら訝しんでいることにちゃんと気づいている。
そこから小雪なりに気をつかい始める動きが入るのが3話の小さな進歩。距離の取り方が下手なのと、相手の感情が見えないのは別問題、という分け方ができている。見えてはいるけど、それを上手に処理する技術がまだ身についていないだけ、というラインで描かれているのがリアル。
ラスト、美姫の直接の問い「こゆんのことどう思ってんの?」
そして3話を締めるのが、美姫が湊本人に直接「こゆんのことどう思ってんの?」と聞いてしまうシーン。やきもきが限界を超えて、回り道を全部すっ飛ばして本人に問いを置いた格好になる。聞いてしまった以上、湊はなにかしら答えなければいけないし、美姫もその答えを受け止めなければいけない。
これは湊への問いであると同時に、美姫が自分の中学時代から続いている好意を自分自身に問い直す手前の動作にも見える。聞き出した答え次第で、美姫の側もこの先の自分の立ち位置を選び直すことになる。さぁどうなる、で次回引きの強さは過去2話の比じゃない。
3話を見終えて
1話で小雪を入口に提示し、2話で陽太と湊の対比を効かせ、3話でついに美姫の中身を開けた回。四人それぞれの「表に出していない部分」が出揃ったところで、いよいよ感情の方向が交差し始めるフェーズに入った。お姫様役を上手にこなしている子の足元に、ちゃんと中学時代の景色が積み重なっているという見せ方がうまい。来週、湊がどう答えるかで一気に動きそうな空気がある。
作品情報
| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 原作 | 阿賀沢紅茶(LINEマンガ連載/集英社 ジャンプ コミックス刊) |
| 監督 | まんきゅう |
| シリーズ構成 | 中西やすひろ |
| キャラクターデザイン | 荻野美希 |
| 音楽 | 佐久間奏、田渕夏海 |
| アニメーション制作 | スタジオKAI |
| 放送 | TBS系列 2026年4月2日〜 毎週木曜23:56 |
| 配信 | Netflix(先行)、ABEMA、Prime Video、Hulu、dアニメストア、DMM TV 他 |
| OP | 「透明」Novelbright |
| ED | 「逆様」ポルカドットスティングレイ |
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